アルバムセルフライナーノーツ 第2弾「海岸線」

壊れかけのテープレコーダーズ4thアルバム「broken world & pray the rock'n roll」メンバー全員による「セルフライナーノーツ」、本日7/2は2曲目「海岸線」です。どうぞ!

「海岸線」セルライナー
by 壊れかけのテープレコーダーズ


44O
先に申し上げますとこの曲の冒頭でドラムがダビングされております。何故なら勢い余ってドラムのフープに引っかかって音が出なかったからです。それ以外はこのバンド史上最高のグル―ヴだったのでこのテイクを採用しました。スーパーエンジニアの近藤さん(GOKSOUND)のナイスミックスにより全然違和感ない所か、よりよくなった…ということにしといてください。残念ながら聴けばどこの事かすぐわかると思います。

この曲を小森から聴いた時、歌詞の内容、曲のタイトルからしても、よく連想する夏めいたものを最初は感じていたのですが、自分はそれよりも少し何かわからないちょっとした影?みたいなものをこの曲を何度かプレイする過程で感じたので、それをふまえてこの曲をプレイしています。

この曲に限らずなんですが、壊れかけのテープレコーダーズは2人歌い手がいます。そしてこの曲は1番2番で歌い手が交代します。同じメロディーなのですが違う人間の為、ブレスの位置、発音のニュアンスがかなり違います。
この曲の様なシンプルな8フィールの場合、2拍4拍にスネアのバックビートが入るため、ともすればとても硬質でスクエアすぎてノれないビートになりがちなのですが、そこでビートを刻むハイハットシンバル、ライドシンバルを歌い手の呼吸や、発音、ブレスの位置、他パートのフレーズにあわせて歌わせることによりこの曲が非常に躍動感があり、ともすれば危うくハラハラしたグル―ヴになっていると思っています。コツというほどではないのですがシンバルを刻む右手のグリップは中指一本で支えております。ジャズにおけるレガートに近いニュアンスです。

ビートのニュアンスはMichael JacksonのBeat It(ドラムはJeff Porcaro)と青山純氏のプレイ(特にPRISM時代)を参照に自分なりのニュアンスを加えました。


shino
15年以上前かな?その頃に、女の子とオフシーズンの冬の小田原の海にデートした直後に、ふられた記憶があります。季節の選択が間違っていました。完全に。


yusa
この曲はさわやか。
高1のGWに父親が単身赴任していた佐世保へ家族旅行にいって、車での移動中ずっと窓の外の風景を眺めながらCDウォークマンフリッパーズギターばかりきいていた。個人的にはフリッパーズギターっぽくしたいなあと思ってオルガンフレーズなど作った曲です。
うたは松田聖子風立ちぬや硝子のプリズムのように歌えたら、と思った。


komori
今は違うんですが、実家が海のすぐそばにありました。家を出て、坂道を折り、大きな国道を跨ぐと、そこがもう海でした。その海岸に沿ってずっと伸びる国道をひたすら自転車こいで走ってましたね、ガキの頃は。一体何をしに、どこに向かっていたのだろう。どこにも向かっていなかったのかもしれないけれど。目的や有用性の外側の世界に住んでいたのかもしれない。かつて、誰もが。そして今はもう僕らは、そうではなくなってしまったのかもしれない。

幼き日の、夏休みに突入したあの日の、無限なる時間を手に入れたかのような感触というものはなんだったのでしょう。勿論それは有限なんだけれど。でもその長大なヴァケーションは灼熱の蜃気楼に揺られながら、おおよそ果てなど見受けられないかのように思えた。エンドレスサマー。ただしうたの視点はエンドオブサマー。夏休みは終わるのです、やがて。

バッキングギターはキース・リチャーズをイメージして弾きました。殆どライヴで披露してない曲なのに、バンド史上でも最も疾走感あるビートのテイクが録れた気がします。