アルバムセルフライナーノーツ第5弾「broken world」

壊れかけのテープレコーダーズ4thアルバム「broken world & pray the rock'n roll」メンバー全員による「セルフライナーノーツ」、本日7/5は5曲目「broken world」です。

坂下ひかり君撮影による今年1月の新宿LOFTでのライヴ映像と共にどうぞ。

「broken world」セルライナー
by 壊れかけのテープレコーダーズ


44O

この曲は作っている段階で今回のアルバムの鍵となる曲だとすぐ気付きました。



プレイのニュアンスというよりはイメージは、smashing pumpkinsのtonight,tonightにおけるjimmy Chamberlinのプレイ、Led ZeppelinのStairway to Heaven(天国への階段)におけるJohn Bonhamのプレイ、King CrimsonのStarlessにおけるBill Brufordのプレイを参照に自分なりにプレイしました。

 

この曲での自分のポイントは楽器と自分を共鳴させることにあります。

 

これ位のテンポの曲で、なおかつ非常に豊かな伸びのあるサスティンが必要な場合、まず楽器の鳴りを抑えてしまうと非常に残念なことになります。手足、スティック、身体の隅々までオープン(開放)してプレイすると、楽器が全くミュートされず、非常に豊かで伸びがあるサスティンが得られ、あたかも自分の身体と楽器が一体化し、共鳴したような感覚になります。



この感覚は言葉で説明するのは非常に難しいのですが、この感覚が得られると、今まで楽器を自分が操作していた感覚から、自分自身が楽器とひとつとなり、ともに寄り添う感覚に変化します。

 

自分はこの感覚にこの曲のレコーディング中に突然気づきました。

 

今になれば世にいう「何かが違う」ミュージシャン、表現者という人達は意識的、無意識かかわらず間違いなくこの感覚が備わっているんだと思いました。自分もそこにほんの少しスタートラインみたいなものに立てたかもしれないと今少しだけ思っています。

 


shino
明日の朝、起きたらきっと、その日は自分のための一日なんですよ。絶対に。


yusa

一昨日くらい、官邸前での大きなデモの次の日だったか、なんでこんな世界になってしまったんだろうと思いながら、今日の分のアルバムレビューを書かなくちゃと家路を急いでいた、
そして、それまでちゃんと考えたことのなかった「broken world & pray the rock ‘n roll」」といタイトルにすべてがつまっているじゃないかと突然分かった。
全9曲の真ん中の「broken world 」はまさにその核となる曲で、それを中心として左右か、前後か、わからないけど、残りの8曲がそれぞれ、ある。

気力がいる、ライブでやるのがしんどいなあと思ったことはあったけど、9分あるこの曲を、長いと思ったことは不思議とない。



komori
タイトルにも冠され、曲順を調度真ん中に配した通り、アルバムの中核となる、9分を超える大作。

前作「ハレルヤ」のリリース及びツアーが一段落ついた2012年夏、フジロックフェスティバルの帰り道、道中ツイッターにてとある知人のロックンローラーの訃報を知った。その時の、祭りの後の、青天の霹靂のような出来事と、同時期に観たアンドレイ・タルコフスキーの映画「アンドレイ・ルブリョフ」の世界像が重なり、やり場のない怒りや悲しみに駆られ、殆ど自動筆記の如きスピードでこの曲を書き上げた。

生きているとうことは、怒りや悲しみ以上に、喜びや幸福、素敵なことで溢れている、と僕は思う。そんな世界に対し内心は「broken」などということばを、使いたくはない。

僕から皆さんに伝えたいことは、「アンドレイ・ルブリョフ」は是非観て欲しい映画です、ということ。