アルバムセルフライナーノーツ第4弾「聖者の行進」


壊れかけのテープレコーダーズ4thアルバム「broken world & pray the rock'n roll」メンバー全員による「セルフライナーノーツ」、本日7/4は4曲目「聖者の行進」です。

先日公開されたばかりのミュージックビデオと共にどうぞ。


「聖者の行進」セルライナー
by 壊れかけのテープレコーダーズ


44O
この曲の行進部分は近藤さん(GOKSOUND)のアイデアで、おっさん4人が(小森、shino、44O、ex-ソニックアタックブラスター、現在、鶴ヶ屋の薄井さん)スタジオの中でマイクの周りをグルグルと回り、本当に行進して録音しました。なかなかうまくいかず何度もおっさん4人がマイクの周りをグルグル回る様はなかなかシュールでした。薄井さんご協力ありがとうございます。

プレイのニュアンスはGene KrupaやBuddy richのスウィングジャズの様なニュアンスと、Carmine Appiceのようなハードロックのニュアンスでプレイしています。普通はこういうハードロックな曲調だともっと重くスクエアにプレイすると思うんですが、そうすると曲のタイトルの聖者の行進の「行進」のニュアンスが出づらくなってしまいます。
具体的には全体的なグル―ヴは重いシャッフルなんですが、ベースのフレーズとグル―ヴがかなりうねっており、そこにドラムのプレイがスウィングなニュアンスを少しだけ加えることにより、勇ましくかつ弾むような、それこそ行進しているかのような独特で奇妙なグル―ヴになったと思います。

そして聖者の行進というタイトルなのでスネアのマーチング風なソロをプレイしているんですがこれが最初全く出来なくて、ここ一年毎日この練習をしていました。結局は左手のグリップ力の問題だったんですが、日常生活でも利き手じゃない左手は当然ながら本当に不器用なのです。そんなわけで左手の感覚を上げるべく、食事を左手で食べる、左手で字を書く、などやってみたりしてそれが意味あったかはわかりませんがどうにかこのスピードに追いついた次第です。

あと自分は全ての感情や、色々な矛盾、その他もろもろ全て演奏に注ぎ込む事を信条としています。音楽家であり表現者である以上、演奏の機会に深く感謝しつつ、日常の全てを黙って演奏のみで表しているつもりです。戯言と思われてもかまいませんが、この曲では特にそれが表れているかもしれません。


shino
あなたの生活している街の、明日の天気はどうでしょか。できれば晴れますように。



yusa
ぎりぎり絶妙なところでだささにかっこよさが勝っているかなあ、
サビの発音指導はエンジニアの近藤さん。これが難しく(なかなか近藤さんからのOKがでず)、大変だった。
なんだかとても、タイムリーな曲になってしまったわけだけど。
歌詞をよんでいてあらためて、答えじゃなくて、問いかけなんだな、と思ったり。

ジャック達のライブをみにいってたら、足音の録音が終わっていました。参加したかった!



komori
ずっと自分の中にある「善悪」の問題というものがこの曲のテーマになっております。例えるまでもなく、戦争においては殺戮すらも善として正当化されてきた、という史実の上に私達の歴史というものは形成されている。そこでは最早善悪という二元論は相対的なもの以外のなにものでもなく、その事実に人間はどう向かい合っていくのか? という問いかけ。

歌詞は同時期に読んでいた旧約聖書の影響が色濃く反映されています。どういうわけか、「箱舟」とか「ハレルヤ」とか、聖書的なことばが自分の歌詞やタイトルに続出する。意図してるわけではないし、そういう勉強をしていたわけではないのだけれど。幼少期に母親が聖書の勉強をしており、その影響というか、トラウマの名残が自身の創作の原体験として残っているのかもしれない。旧約聖書は特に残虐極まりないお話で、あのようなものが「聖」と称されることに対する、恐れや疑問符をずっと抱えている。

図らずも、集団的自衛権容認反対の大規模なデモ行進が行われたまさにその日に、この曲のMVが公開となった。自分も現地に伺いましたが、異様な、異常な光景だと思った。同時に悲痛な光景だとも。決してポリティカルな意図をもって書かれた曲ではないが、偶然か必然か、時代というものが自然と自ずから音楽に照らし出されてしまったのかもしれない。

拡声器のように歪まされたボーカルが楽曲のおぞましさを助長させていると思います。グルーヴが怒っている。怒りのグルーヴ。ギターソロのあたりの畳みかける重戦車のような演奏は特に聴きもの。